中央線鉄道唱歌の歌詞を、わかりやすく解説してゆきます!
山梨市・差出の磯・石和温泉の地理などを、やさしく解説してゆきます!
↓まずは原文から!
鳴きて過ぎ行ゆく日下部や
石和の川に夜をこめて
鵜飼舟にや棹さゝむ
さらに読みやすく!
鳴きて過ぎ行ゆく 日下部や
石和の川に 夜をこめて
鵜飼舟にや 棹ささん
さあ、歌ってみよう!
♪なーきてすぎゆく くさかべやー
♪いさわのかーわに よをこめてー
♪うーかいぶねにや さおささんー
高尾駅→相模湖駅→上野原駅→四方津駅→鳥沢駅→猿橋駅→大月駅→初狩駅→笹子駅→(笹子トンネル)→甲斐大和駅→塩山駅→山梨市駅→石和温泉駅→酒折駅→甲府駅
※鉄道唱歌に関連する主要駅のみ表記
塩山駅を出て、山梨市駅へ 周囲はたくさんの「ブドウ畑」
塩山駅(山梨県甲州市)を出ると、列車は甲府盆地の真ん中へ向かって、西へどんどん走ってゆきます。
この近辺は、窓を見渡すと、広大なぶとう畑がたくさん広がっています。
それもそのはず、山梨県はぶどうの生産量日本一の県だからです。
それに加えて桃の生産量も日本一のため、山梨県は「フルーツ王国」とも呼ばれます。
山梨市駅(山梨市)へ到着
やがて、山梨市駅(山梨県山梨市)に到着します。

山梨市駅(山梨県山梨市)

山梨市駅(山梨県山梨市)

山梨市駅(山梨県山梨市)
かつては「日下部駅」だった、山梨市駅
歌詞にある日下部とは、現代の山梨市駅のことをいいます。
山梨市駅は、開業当時は日下部駅と呼ばれていました。
実は県庁所在地ではない、山梨市
山梨県山梨市は、市名こそ山梨市ですが、実は県庁所在地ではありません。
山梨県の県庁所在地は、甲府市になります。
このように、”県庁所在地でない県名の市”は、他にも以下のように存在します。
例
- 山梨県山梨市 県庁所在地:甲府市
- 沖縄県沖縄市 県庁所在地:那覇市
- 栃木県栃木市 県庁所在地:宇都宮市
沖縄市は、沖縄県のやや中央にある市です。
栃木市は、栃木県第2の都市である小山市のやや西にある市です。
栃木市は「巴波川」の小江戸の景色がとても素晴らしいです。
これらは社会科の地理のテストでも、引っかけ問題として出されるかもしれませんので、気を付けましょう。
また、もしこの記事を社会科の先生が見てたら、どうか引っかけ問題として出さないであげてください(^^;)
笛吹川の景勝地「差出の磯」(山梨市)
差出の磯とは、山梨市のやや北にある、笛吹川の作り出す景勝地になります。
差出の磯は、古くからたくさんの詩人たちの憧れとして、また歌に詠まれてきた歴史があります。
その詠まれてきた歌の多くは、基本的に以下のようになものが多いです。
※以下、全部筆者の作詞です。
まるでみんなで 楽しそうだな
たのしいあぞび かんがえようね
さしでのいその こいもむなしき
※【1】【2】【3】ともに、分かり易さの観点から(過去の歌詞の傾向を分析して)、私(筆者)が勝手に考えて作った歌です。
どれも深い意味はありません(考えなくて大丈夫です)。
「しほのやま」に由来する「塩山」
「しほのやま(塩の山)」とは、山梨県甲州市の「塩山」の由来となった山のことです。
- 「四方を見渡せる山」
から
- 「しほのやま」
となり、そこから時代とともに
- 「しおのやま→塩の山→塩山」
と変化してゆきました。
ちなみに、
- 【1】【2】【3】どの歌も、「しほのやま」から始まり、
- その後に、「さしでのいそ(差出の磯)」というフレーズが、まるで”お決まり”・”お約束”かのように続く
ということになります。
そして、その後に「ちどり(千鳥)」というフレーズが登場していることに気付くでしょうか。
ちょっと難しい「枕詞」のお話
まずこの「しほのやま」は、「枕詞」といいます。
枕詞とは、歌をカッコよくするために、また字数を合わせるために使われてき、日本の昔の歌のテクニックの1つです。
- ちはやふる~
- ひさかたの~
などは、典型的・代表的な枕詞の一種です。
そして、枕詞そのものには意味が無く、訳されることもありません。
なので、子どもの頃の私(筆者)のようなひねくれた生徒にとっては、この「無意味に使われる枕詞」の存在意義が理解できず、国語の先生を困らせることになります。
なぜ「枕詞」があるのか・・・テストに出るから?
「なんでこんな枕詞があるんですか?」
と子どものとき、国語の先生に聞いたことがあるのですが、
と、(当たり前だと思いますが)まともに教えてはくれませんでした。
正直、私は心の中で「先生自身も多分わかっていないだろ!」とか「もはやテストで点を取らせないための嫌がらせだろ!」とか散々すら思ってました(言葉が汚くてすみません(^^;))ろくでもない生徒ですね。
昔の歌は、五・七・五・七・七の形式が多い
日本の昔の歌は、基本的に五・七・五・七・七のフレーズになっています。
これは恐らく、
- 日本の地名に「五文字のもの」が多いため
- 「七文字だと合わせやすいため」
- 「リズムよく聞こえるため」
など、様々な理由があるからだと思われます。
五文字と七文字の組合せは、ラップ調にしても、なんだかカッコよく聞こえます。
鉄道唱歌の歌詞も、基本的に「七文字と五文字の繰り返し(七五調/しちごちょう)」になっていますよね。
枕詞は、ある意味古くからの風習か
ここで、例えば「ちはやふる」という五文字のフレーズが出てくると、その後に必ず「神~」という言葉が出てくるということになります。
これはもはや「古くからの風習」や「しきたり」みたいなものであり、そういうルールになっているとしか言いようのない部分があります。
昔のある天皇や貴族が「ちはやふる 神~」みたいな歌を一度歌うと、必然的に周りの人や後世の人達も(畏れ多くて)そのルールを壊すわけにはいかないため、長年かけてこの「枕詞」のルールが(人々の知らず知らずのところで)定着してしまったのでしょう。
例えば、
- 「ひさかたの」→「天」「雲」「月」など
- 「ちはやふる」→「神」
- 「しほのやま」→「さしでのいそ」「ちどり」
みたいな感じの組合せです。
枕詞があれば、作詞作業も容易に?
また「枕詞」は必ず五文字なので、作詞する側にとっては、アイデアが浮かばない時はとりあえず枕詞を使っておけばよく、作詞者の負担軽減につながる(?)といったメリットもあるでしょう。
また、「しほのやま」と来れば必ず「さしでのいそ」というフレーズが登場するルールになっています。
そのため、作詞がしやすく、また聞く側にとっても何の歌なのかが予測しやすくなります(特に「小倉百人一首」などの歌のゲームにおいては)。
また「ちどり」は三文字なので、あと二文字付け加えるだけで、簡単に五文字にできます。
- 鳴く千鳥
- ゆく千鳥
などです。
差出の磯の歌も、長年にわたって「千鳥」というフレーズとともに使用される行為が繰り替えされ、定着したのでしょう。
平安時代、「詩あそび」はとても重要だった
平安時代は「朝廷」といって、貴族の皆さんは朝はやくに出勤し、昼には公務を終えていました(その代わり土日休みは無し)。
そして昼からは、歌を詠んで優雅に遊ぶという生活をしていましたから、こうした「歌あそび」は、天皇や貴族にとってはとても重要だったのです。
枕詞はルールが決まっており、試験に出やすい?
したがって、上記の理由を考えたり知らなければ、私のような「ひねくれた生徒」が、国語の先生に
対して「何で枕詞とか意味不明なものがあるんですか」と聞いても、
- 「そういうものだから、我慢して覚えなさい」
- 「覚えないと志望校に受からないわよ」
と返されるのが普通です。
また、何でもかんでも質問したがる私のような生徒は、先生にとっては困るでしょう。
トーマス・エジソンも、子どもの頃は先生に質問しまくって、困らせていたというエピソードがあります。

私は小学生のとき、先生に変な質問ばかりして、困らせてたよ・・・(´`)
そして「枕詞」と「その後に続くフレーズ」の組み合せの勉強は、結局のところ単なる暗記作業にもなりやすく、一方の先生側の立場からすれば試験問題を作りやすいといえます。
そのため、必然的にテストに出やすくなります。
しかし、これを覚えさせられる生徒にとっては、上記の「なぜ枕詞は存在するのか」の意義を理解していなければ、
- 「何のためにこんな暗記をしなければならないのか。将来何の役に立つのか」
という思考に陥るようになります。
すると、結局は半ば強制的に暗記作業を強いられるだけ、という事態につながります。
これが子どもが勉強を嫌いになる、1つの原因でもあります。
私のような生徒は、納得いかない事はとても苦手だった
また、私(筆者)のようにADHDやASDなどの発達障害がある人は、「こういうものだから黙ってやりなさい(覚えなさい)」と言われるのが非常に苦手です。
また、ADHDだったことで有名なトーマス・エジソンも、幼少期はこの事で苦労されていました。
なので元学校教員だったエジソンの母は、トーマスに対して「ただ覚えるだけでなく、なぜそうなるのか」を考えさせる勉強を教えたといいます。
話がだいぶ長くなりましたが、「枕詞」が何なのか、この「差出の磯」から発展して何でそうなるのかを気になって仕方がなかったので、私も納得いくまで調べてみました。
あの野口英世も、一度気になったことは納得いくまで調べていたといいます。
笛吹川と、石和温泉 石和温泉駅に到着
歌詞にある「石和の川」とは、ここでは「笛吹川」のことをいいます。
笛吹川は、かつてより灌漑に用いられてきた歴史があります。
灌漑とは、川から農地に水を引っ張ってくることをいいます。
これによって畑に水が届くので、周辺のブドウ畑が栄えることになります。
石和と書いて、「いさわ」と読みます。

石和温泉駅(山梨県笛吹市)

石和温泉駅(山梨県笛吹市)

石和温泉駅(山梨県笛吹市)
石和温泉を中心とする、笛吹市
石和温泉は、山梨県笛吹市にある温泉地です。
また石和温泉駅は、笛吹市の主要駅となります。
石和温泉駅は、特急「かいじ」の停車駅ともなります(ちなみに「あずさ」は、八王子~甲府間ノンストップであるため、基本的には止まりません)。
山梨県笛吹市は、石和温泉を中心とした町になります。
また、石和温泉駅の駅前にはイオンもあり、買い物に便利です。
温泉の中では比較的新しい、石和温泉
石和温泉は、戦後にその「お湯」が発見されたという、温泉の歴史としてはかなり新しい部類のものになります。
というのも、世の中の大半の有名な温泉は、めちゃくちゃ昔から存在していたものが多いからです。
例えば、弘法大師・空海が平安時代に発見したというお湯(温泉)は全国各地にあります。
また、長野県の「束間の湯(現代の「筑摩の湯」)」のように神話の時代から存在していたものもあります。
つまり、「古事記」などの神話の本に、温泉の名前が記載されているということです。
なので、戦後に発見された石和温泉は、比較的新しい温泉であるといえます。
戦後、工事中に発見された石和温泉
石和温泉は、なんでも戦前からその「お湯」の存在が噂されていたそうです。
なぜなら、ぶどう畑を耕すときに、ちょくちょくお湯が沸いていたという噂話があったからです。
それが戦後の1956年に、工事のため「ボーリング」の機械によって、井戸の穴を掘っめいたところ、温泉がどっと湧き出したことが、石和温泉の始まりとなりました。
歌詞にある「鵜飼い」とは?
歌詞の最後の方にある鵜飼いうかとは、鵜という鳥を使って、アユという魚を捕らえる伝統的な手法です。
岐阜県の「長良川の鵜飼い」が有名です。
長良川の鵜飼いについては、以下の記事でも解説していますので、ご覧ください。

次回は、酒折駅へ
次は、酒折駅に止まります!
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